私は物理学科の学生として大学に入学せず、独学で物理学を勉強しました。物理学科の彼らと比べると私の理解度なんざ雲泥の差があるでしょう。しかし、私が孤独の戦いを繰り返す中で身につけたことがあります。それは“自分なりの解釈”がいかに重要かということです。
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私が塾講師だった頃の話
私は大学生になって1年半年間、個別指導の塾で働いていました。担当科目は数学と英語。ある日、中学一年生のAくんに円の面積の求め方を教えていた時のことです。
πrの二乗がどうして円の面積なの?
私の記憶が正しければ、中学1年生の後半の数学では図形の勉強に入り、円周や円の面積を求め方を習います。この頃既に文字式の計算や方程式などは習得済みなので、円周率をπ、円の半径をrとし、円の面積はπrの二乗であると教えられます。
私もテキスト通り、「円の面積の求め方はπrの二乗だよ」と教えました。しかし、驚くことにAくんはこう言い張りました。
「先生!!小学校では『半径×半径×3.14』って習ったよ!!なんで答えが9πになるの??」
既存の解釈。そして新たな解釈。
私は頭ごなしに「πrの二乗で覚えなさい!!!」とは叱りませんでした。なぜなら、Aくんの言っていることは何も間違っていなかったからです。彼の頭の中には半径がrと表され、3.14がπ、そしてrの二乗がr×rと結びついていなかっただけなのです。
それらの説明をし、「半径×半径×3.14もπrの二乗も同じことなんだよ」と教えると、Aくんは「そういうことだったのか!」と納得しました。そして彼の中で新たな解釈が生まれたのです。
当時の彼の成績はあくまで平均点レベルでしたが、彼は飛び抜けて優秀でした。なぜなら中学1年生ながらに自分なりの解釈を持ち、その解釈を基準に考えることができ、さらにはその解釈を高度なものに書き換えることが出来る能力を持っていたからです。
「これはこういうものなんだ!」という感覚
Aくんは円の面積の求め方に対して“半径×半径×3.14”という解釈を持っていました。そしてその解釈を持っていたがために、円の面積が“πrの二乗”で表わされるということに戸惑いを感じました。しかし、これら2つが同じものであるとわかり、円の面積の求め方は“πrの二乗”で良いという新たな解釈を持つようになりました。彼が理系の大学に進むと、円の面積に対して更に新たな解釈を持つことになるでしょう。
さて、私とAくんの昔話をお話させて頂きましたが、私が皆さまに伝えたい事は“自分なりの解釈を持つ”ということです。これはいささか当たり前のことかもしれません。
突き詰めれば哲学的な話に入ってしまいますので、「円の面積がどうして“πrの二乗=半径×半径×3.14”で求められるのか?」などの話をするつもりはありません。しかし、ある物事に対して自分なりの解釈を持つことはあなたの理解の基準になるということ。「これはこういうものなんだ!」という解釈こそが、あなたをさらに高次元に誘うキッカケになると考えています。
私はこの自分なりの解釈を持つということこそが、理解するということであると考えています。どのレベルで理解しているのかという違いは人それぞれです。詳しくは次回の記事に譲ります。
まとめ
本当に当たり前のことですが“自分なりの解釈を持つ”ということは、あなたが何か新しい物事を理解するための基本中の基本です。Aくんとの昔話を出したことで、少し話が脱線してしまいましたが、話を戻すと独学においても“自分なりの解釈を持つ”ことは非常に重要です。
私が実際に独学で難解な物理学の勉強に取り組んだ方法は次回詳しくお話します。
繰り返しますが、自分なりの解釈、「これはこういうものなんだ!」という感覚を持つのがポイントです。
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